東芝と東芝機械は,従来方式注と比較して約10倍以上の造形速度を実現する3D金属プリンターの試作機を共同開発した(ニュースリリース)。
これは,経済産業省の委託事業「次世代型産業用3Dプリンタ技術開発及び超精密三次元造形システム技術開発」において開発したもので,12月2日から4日まで東京ビッグサイトで開催される「モノづくりマッチングJapan2015」で展示する。
開発品は,レーザー照射と同時に金属粒子を噴射することで造形を進めるレーザーメタルデポジション方式を採用するとともに,東芝の流体シミュレーション技術を活用した。
さらに,金属粒子の噴射領域を小さく集束させる造形ノズルを新たに開発したことにより,レーザー出力800Wで1時間あたり110㏄の造形速度を実現した。材料の必要な部分のみレーザー照射で造形するため,従来方式注より低コストで大型の造形が可能となる。
材料は,ステンレス鋼,インコネル,鉄など幅広い素材に対応しており,部分的に素材を変えた部品の造形もできる。今後,造形速度および解像度の向上,3DCADソフトと連携などの改良を進め,2017年以降の実用化を目指すとしている。
また,東芝は,社会インフラ機器部品等の製造工程への金属3Dプリンターの適用を進め,生産効率の向上を目指す。東芝機械は,装置本体の製造を担当し,2017年以降の販売を予定している。工作機械などの既存製品との相乗効果による顧客価値の創出を狙う。