大阪大学の研究グループは,動く立体にプロジェクションマッピングする技術を開発した(ニュースリリース)。
移動・回転する物体に,あたかも映像が張り付いたかのように動画表示できるプロジェクションマッピングを実現することは,これまで,技術的に困難と考えられてきた。動く立体へのプロジェクションマッピングでは,投影された映像の位置合わせが重要な技術課題となる。
これを実現するために,投影対象のプロジェクタに対する3次元空間での位置と姿勢を常に計測し続ける必要がある。これまで,様々な手法が適用されてきたが,そのほとんどは,マーカーやセンサーを投影対象に手動で取り付ける必要があり,取り付け時の位置ずれが避けられず,結果的に投影結果がきちんと位置合わせできなかった。
さらに,取り付けられたマーカーやセンサーに映像が重なり,プロジェクションマッピングの画質劣化を引き起こしていた。
研究グループでは,色や模様も印刷することのできるフルカラー3Dプリンター技術を適用することで,これらの問題を解決することに成功した。具体的には,3Dプリンターから投影対象を出力する際に,同時にカメラで読み取ることのできる特殊なマーカーをその表面に印刷する技術を開発した。
このマーカーを画像計測して動く立体の3次元空間での位置と姿勢を計算する。マーカーは,機械精度で決められた位置に印刷できるため,従来の位置ずれ問題が解決できる。
さらに,プロジェクタ色補正技術を適用することで,マーカーを視覚的に陰消する技術も開発した。この技術によって,印刷されたマーカーが視認されなくなり,投影結果の画質劣化を避けることができる。
実際に投影対象をフルカラー3Dプリンターから印刷して実験を行なった結果,マーカーを陰消しつつ,移動・回転する物体に対して,その動きに合わせて映像を投影し続けられることを確認した。
関連記事「NICT,迅速な3Dコンテンツ制作法を開発」「【モーターショー】三菱電機,次世代自動車向け光デバイスを展示」「NTTが開発する,静止画が動き出すプロジェクション技術「変幻灯」」「東大が開発する,対象を画像の中心に捉え続けるカメラ「1msオートパン・チルト」」