新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は,ベンチャーキャピタル(VC)等と協調して,初期段階(シード期)にある研究開発型ベンチャーを支援する新たな制度を開始し,3テーマが始動した(ニュースリリース)。
研究開発に関する補助金等の公的資金は,足の長い初期段階(シード期)にある研究開発型ベンチャー(STS)にとって大きな役割を果たしている。しかし,技術開発が進んでも,次のステップであるベンチャーキャピタル(VC)等のリスクマネーを入れた事業拡大のフェーズに至るまでには,未だ大きなギャップが存在していることが課題となっている。
そこでNEDOは,STSに対して,VC等と協調して支援する新たな支援制度をスタートさせ,今般,公募を経て選定した17件の助成金交付予定先のうち,NEDOが認定したVC等からの出資が確認された3件について,助成金の交付を決定した。
この制度は,NEDOが認定した国内外のVC等から出資または出資意向確認書を得たSTSを公募し,その研究開発および事業化に必要な資金についてNEDOが助成金を交付するもの。助成金の交付決定にあたっては,VCが一定額を出資していることが条件となる。
NEDOとVC等が協調した切れ目ない事業化支援により,将来のメガベンチャーとなるSTSを創出・育成するとともに,VC等の日本での活動を活性化し,STSとVC等がともに成功事例を連鎖していくエコシステム創出を目指すとしている。
公募を経て選定した17件の助成金交付予定先のうち,NEDOが認定した12のVC等(認定VC)からの出資が確認された以下の3件について,今回助成金の交付決定をした。
①株式会社未来機械(認定VC名:合同会社ユーグレナSMBC日興リバネスキャピタル)
事業テーマ: 小型かつ安価で技術競争力の高い新型のソーラーパネル清掃ロボットを開発
株式会社キュア・アップ(認定VC名:Beyond Next Ventures株式会社)
事業テーマ: 医学的エビデンスに基づいた,脂肪肝治療用人工知能アプリケーション開発
オスカーテクノロジー株式会社(認定VC名:ウエルインベストメント株式会社/AZCA Inc.)
事業テーマ: 自動並列化コンパイラの翻訳時間削減機能の開発
助成事業の期間は,交付決定日~2017年2月28日まで。助成率は助成対象費用の85%以下で,助成額は原則7,000万円までとなっている。
NEDOでは残りの14件の交付予定先についても,今後,期限である2016年1月下旬までに,認定VCによる出資が確認された予定先に対して,順次助成金の交付決定を行なうとしている。
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