東芝は,課題事業の抜本的な構造改革の一環として,半導体事業におけるシステムLSI事業,ディスクリート半導体事業の構造改革についての方針を決定した(ニュースリリース)。
システムLSI事業については,注力領域の明確化と固定費削減を目的として,同事業の一部となるCMOSイメージセンサ事業からの撤退を決定し,ソニーとの間で,大分工場の300mmウエハー製造ラインに関係する資産を,ソニーに譲渡する旨の意向確認書を締結した(東芝,半導体生産ラインをソニーに譲渡へ)。
あわせて,システムLSI事業における200mmおよび150mmウエハー製造ラインの効率的な一体運営を目的に,大分工場と岩手東芝エレクトロニクスを統合する新会社発足の準備を進める。また,ディスクリート半導体事業については,白色LED事業を終息し,パワー半導体事業等への経営資源の集中を図る。
システムLSI事業において,車載用を含むアナログIC,モータ制御ドライバなど市場の成長が見込まれるとして,技術的優位性が高い注力分野へ経営資源を集中するほか,200mm及び150mmウエハー製造ラインの効率的な一体運営を目的に,大分工場を岩手東芝エレクトロニクスに統合する新会社発足の準備を進める。
また,新会社では,アナログ製品を中心としたファウンダリ需要を取り込むことにより,製造ラインの稼働率を改善し,コスト競争力の強化を図る。今後,適切な統合スキームの検討を行ない,登記等必要な手続きを経て,2016年4月1日を目途に新会社を発足させる計画。
ディスクリート半導体事業は抜本的に事業体制を見直し,収益力改善および市場競争力強化を目的に,2015年度末までに白色LED事業を終息する。これにより,市場拡大が見込まれるパワー半導体事業,光デバイス事業,小信号デバイス事業を注力領域と位置付け,ディスクリート半導体事業全体の早期黒字化を目指す。
この構造改革に伴い,システムLSI事業,ディスクリート半導体事業及びセミコンダクター&ストレージ社の営業・スタッフ部門を対象に,セミコンダクター&ストレージ社内での再配置及び再就職支援を含む早期退職優遇制度を実施する。
終息に伴う発生費用は,上記の人員施策関連を除いて200億円程度の見込み。これに関して同社は業績にあたえる影響は軽微だとしている。
東芝ではこれらの展開により,固定費について2014年度と比較して,2016年度にシステムLSI事業で約160億円,ディスクリート半導体事業で約100億円の削減を図り,2016年度中に両事業の黒字化を目指す。