2014年デジタルサイネージ市場は16.5%増の1,054億円

富士キメラ総研は,ハードウェアメーカーや広告代理店,コンテンツベンダー,配信/運営事業者など,多岐にわたって参入事業者が増加しているデジタルサイネージの国内市場について,ハードウェアから広告,運営まで網羅的に調査し,その結果を報告書「デジタルサイネージ市場総調査 2015」にまとめた(ニュースリリース)。

それによると,2014年の市場はシステムの低価格化により小規模チェーンや個人経営店舗などユーザーの裾野が広がり,前年比16.5%増の1,054億円となった。2015年はメディアプレーヤーやサイネージ向けスティック型STBの普及によりクラウド型配信サービスが拡充し,市場拡大が見込まれる。

2016年から2019年にかけては2020年のスポーツイベント開催に伴い,競技場に加えて交通機関や官公庁の案内板などインバウンド対応の大規模な需要を予想する。2020年は商業施設などでパブリックビューイング用途も兼ねたデジタルTVの導入増が期待されるとう。また,初期費用が低減できるクラウド型配信サービスの普及が店舗系の導入を後押しするとみる。

システム販売/構築は交通機関における新設・更新需要に加え,その他の分野でも新規需要の開拓が進む。特に配信システムはメディアプレーヤーに加え,メディアプレーヤー内蔵ディスプレイやスティック型STBの登場によりシステム構築が容易になり,需要が増えている。

コンテンツ制作/配信サービスはハードの普及率上昇や低価格化によりシステム販売/構築の伸びが今後鈍化するとみられるため,参入各社が注力度を高めているという。業務負担の軽減やコンテンツ品質の向上が期待できるため中小規模ユーザーの利用が増加するが,一方で,ユーザーが自ら運用できる制作/配信システムも開発されており,外部委託の伸びは徐々に鈍化すると予想する。デジタルサイネージ広告は交通広告やインストアメディア他を中心に大幅な伸びを予想する。

交通広告は既存の看板/ポスターからの移行が進んでいる。同一スペースで複数のクライアントから集稿でき収益増加が図れるため,都市部や地方都市のターミナル駅を中心に,鉄道事業者や広告代理店が積極的に媒体面数を増やしている。

また,鉄道車両も新型車両への切り替え時に広告用モニターの設置が進められている。空港や道路サービス施設(SA/PA),バス/タクシー車両などでも導入が増えている。今後は2020年のスポーツイベント開催に向けた施設の新設やリニューアルにより需要増加が期待されるという。

ビルボード(屋外ビジョン)はターミナル駅や商店街/繁華街周辺のビル壁面に設置され,商品/企業広告のほか,官公庁/自治体からの地域/行政情報,防犯/防災,マナー啓発などのインフォメーション用途としても利用されている。

2011年の東日本大震災を機に災害など緊急時のニュース放映,避難指示などを行う公共表示システムとして評価が高まっている。フルカラーLEDディスプレイの低価格化によって,家電量販店やショッピングセンター,ロードサイド(高速道路),オフィスビル(複合施設)などでも導入が進んでいるという。

インストアメディア他は、集客力の活用や購買直前の消費者に対するPR効果が期待され,スーパーやブックストアなど大手小売チェーンで展開されているとする。店舗以外でも20代前後の若年層に向けて自動車教習所や大学などで導入されている。自治体施設では窓口業務/市政情報の表示,災害時の情報発信や,地元企業/団体からの集稿による収入確保を図るなど,店舗以外での広告活用も増えているとした。