2014年光学・透明ポリマー市場は1兆7,038億円,前年比9.4%増

富士キメラ総研は,耐熱ポリマー17品目,光学・透明ポリマー17品目を取り上げ,市場動向を調査した。またエネルギーや自動車,航空宇宙,光学などの注目分野における用途動向を把握し,それぞれのポリマーの競合状況や今後の方向性を捉え,その結果を報告書「2015年 耐熱・光学ポリマー市場の現状と将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。

近年,耐熱ポリマーは自動車,航空機分野での採用が進んでいる。自動車分野では燃費向上を目的とした軽量化や耐熱性が求められている。部品の素材が金属から樹脂へと切り替えが進んでおり,電装品などの自動車部品では耐熱性の要求が高く,素材はエンプラおよびスーパーエンプラが主体となっている。

光学・透明ポリマーは,雑貨や住設・建材,エレクトロニクス製品まで幅広く採用されている。特に注目はエレクトロニクス分野であるが,物量の多いところでは電気・電子製品の筐体や部品などへの採用・拡大が期待される。光学分野においてもFPD関連フィルムや光学レンズの需要が今後も継続的に増加するとしている。

耐熱ポリマー市場は自動車や産業機械向けを中心に成長を続けてきた。今後も自動車分野向けを中心に金属代替や車載電装化の影響から引き続き拡大していくとみる。PPS(ポリフェニレンサルファイド)ポリマーは,環境規制の強化によりフィルター向けが拡大するとみている。

光学・透明ポリマー市場は,数量ベースで規模が大きい汎用エンプラのPC(ポリカーボネート)やABSなどのスチレン系樹脂が,2011年以降,欧州の景気不安,中国での雑貨や建材関連の需要不振で伸び悩み,成長率が鈍化した。しかし,2013年以降,円安の影響から金額ベースでは上向き,2014年は1兆7,038億円,前年比9.4%増となった。

今後はTVやエレクトロニクス製品向けの需要が拡大するとみており,COP(シクロオレフィン・ポリマー)・COC(シクロオレフィン・コポリマー)の需要が引き続き増加するとしている。そのほか,透明PA(ポリアミド)が産業機械やメガネ関連向けが拡大するとみる。光学分野においてはガラス代替や高屈折系ポリマーなどの用途開拓が進んでいるとした。