広島大ベンチャーら,石綿向けiPad蛍光顕微鏡を開発


広島大学の基礎技術をもとに,広島大学発ベンチャー企業であるシリコンバイオとオプトサイエンスは協力して,「持ち運べるiPad蛍光顕微鏡」を開発した (ニュースリリース)。

日本ではアスベストショックから10年経過したが,未だに多くの人々が石綿被害で苦しんでいる。そして今もなおアスベスト飛散がビル解体現場や古い施設の改修の現場で報告されており,アスベスト飛散防止には,できるだけ迅速なアスベスト検出方法が必要とされている。

広島大学では,アスベストに結合する蛍光タンパク質を利用したアスベスト検出方法を開発してきた。しかしながら,蛍光顕微鏡は研究室用に開発されたもので,現場に持ち運べるような蛍光顕微鏡はほとんどなかった。そこで開発グループは,これまでの光路設計を見直し,可搬型の蛍光顕微鏡に取り組んだ。

開発した蛍光顕微鏡は,青色LEDを励起光とし,励起フィルター,ダイクロイックミラー,蛍光フィルターで構成され,Apple社のiPadのカメラに接続している。0.7μmの分解能で解析でき,十分にアスベストを検出することができる。それに加えて,取得した画像はiPadの通信機能により,離れた分析室で画像をリアルタイムで観察することができる。

この蛍光顕微鏡は2016年1月にシリコンバイオから発売する予定。なお,この蛍光顕微鏡を使っている様子は以下のサイトで閲覧することができる。
http://siliconbio.co.jp

関連記事「理科大,蛍光標識を用いない細胞観察法を開発」「 産総研,LED励起光源を用いた超小型蛍光検出デバイスを開発