凸版印刷は,人間の呼気や周囲の湿度に反応して,透明な状態から多色の絵柄が浮き出る,日本初の湿度応答性カラーフィルムを開発した(ニュースリリース)。
この湿度応答性カラーフィルムは,自己組織化により均一な多層膜構造を形成し,湿度応答性材料を選択的に導入して,湿度に反応する厚み変化により光の干渉を制御することで,絵柄が浮かび上がるフィルムの開発に成功した。
多層膜構造の材料と湿度応答性材料の組成を調整することで,人の息に含まれる少量の湿気に反応させることに成功した。湿度応答は湿度を下げることで反応前に戻る可逆変化であり,応答速度が速く1秒以内に発色することができる。
さらにフォトリソグラフィ技術により,微細なパターンを多層膜構造に転写することで,湿度応答を制御して様々な絵柄を表示できる。またフォトリソグラフィ条件により湿度応答の特性が変化するため,光が干渉する波長を制御し,可視光領域内で表示色の調整が可能。
セキュリティ分野では,ホログラムによる偽造防止技術が主流となっており,常に新たな視覚効果が求められている。同様に,プロモーション分野においても,色変化や香りがする印刷など,DM,ポスター,カタログ,POPに利用可能な新しい表現技術が求められている。ことから,同社は今回,息を吹きかけることでカラーの絵柄が浮かび上がる湿度応答性カラーフィルムを開発した。
同社はは,湿度応答性カラーフィルムを偽造防止やプロモーションツールとして活用するための検証をすすめ,2017年3月の実用化を目指すとしている。
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