千葉工業大学と東北大学が開発した流星観測衛星S-CUBEは,2015年8月19日,宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機により打ち上げられ,8月25日(日本時間)にはISSに送り届けられたが,ISSの日本実験棟「きぼう」のロボットアームにより,9月17日(木)21時頃(日本時間)に地球周回軌道に投入される(ニュースリリース)。
軌道投入後初めてのS-CUBEの可視時刻(S-CUBEと千葉工大地上局が通信できる時刻)は2015年9月17日(木)23時30分~9月18日(金)1時になる見込みで,この時刻からS-CUBEの運用が開始される。
運用においては,千葉工大局からS-CUBEにコマンドアップリンク(指令)電波が送信され,その指令に応じてS-CUBEから地上局にテレメトリダウンリンク(観測データなど)電波が送信される。S-CUBEは1日2回程度の可視が予定され,約1年間運用を実施する。
衛星放出後,衛星が健全であることを確認した後,地上からのコマンドにより,太陽電池セルが貼られたパドルを展開する。こうすることで,観測機器や姿勢制御用リアクションホイールなど各機器を動作させることができ,これら機器の初期動作試験を実施することが可能となる。
S-CUBEには科学測器として可視カメラと紫外線センサを搭載しており,特に流星の紫外線の長期観測は世界初の試みとなり,流星の発光メカニズムの解明や,流星塵成分の新たな情報を得ることが期待される。また,地球に衝突する微小天体の頻度の時間変化や空間分布の評価につなげることができ,宇宙物質が地球にどれだけ供給されているのかを議論することが可能になる。
S-CUBEは初期動作試験終了後に,カメラなど観測機器を地球に指向させるマストを地上からのコマンドで伸展させ,流星観測を開始する。流星観測の開始は10月中旬を予定しており,まずはオリオン座流星群(活動期間10月2日~11月7日)の観測を予定している。
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