NEDO,次世代航空機向けの装備品開発に着手

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は,2020年代半ば以降に市場投入予定の次世代航空機への搭載に向けて,軽量・低コストかつ安全性の高い装備品の開発に着手する(ニュースリリース)。

日本の装備品メーカーが持つ技術力を生かし,装備品市場への新規参入拡大による飛躍的な成長の実現を目指す。

航空機の機体構造(胴体や翼など)およびエンジンを除いた機器類は,総称して装備品(航空機システム)と呼ばれる。装備品は航空機価格の約4割を占めており,航空機の機能や性能に直接関わる部分も多く,また機体そのものよりも整備・修理ビジネスでの継続的な収益が期待できるため,非常に重要な分野となっている。

これまで装備品の大半は欧米の装備品メーカーで製造されており,装備品の納入実績が少ない日本の装備品メーカーにとって,市場で収益を得ることが困難な状況が続いていた。

そこでNEDOは,日本の装備品メーカーが持つ技術力を生かし,本格的な装備品市場への参入・市場拡大を図るために,2020年代半ば以降に市場投入される次世代航空機向けの,軽量・低コストかつ安全性の高い装備品の開発に着手する。

事業期間は2015年度から5年間を予定しており,今回,5テーマを選定した。プロジェクト期間中にはステージゲート審査を設け,高い実現性が見込まれるテーマに絞り込み,装備品の実用化を加速する。

航空機産業は,今後20年間で旅客需要が約2倍になることが見込まれているなど大きな成長が期待できる産業であり,現在,約700億円である日本装備品市場が,このプロジェクトで新規参入を拡大し,飛躍的な成長を実現することにより,2倍を大幅に超える市場の拡大を目指すとしている。

今回のテーマとして,次世代エンジン用熱制御システム,次世代降着システム,世代空調システム研究開発,次世代飛行制御/操縦システム研究開発,そして光関連技術として次世代コックピットディスプレイ研究開発が行なわれる。

将来のコックピットディスプレイには,従来求められてきた安全性や耐環境性,市場競争力に加え,今後の航空機の運航機体数増加による航空交通管制の大幅な見直しにより,機上での相互位置関係の認識や航路の協調的意思決定への対応が求められている。

このテーマでは,上記の要求に適した,大画面・人間適応型形状ディスプレイモジュールの開発,およびタッチパネル機能の開発を行なう。委託予定先は横河電機となっている。