古河電工ら,光ファイバによる海洋観測システムを実証

古河電気工業,東日本電信電話,日本コムシス,エコニクスは共同で,函館市国際水産・海洋総合研究センター隣接の北護岸突端において実証試験を行なった結果,センサに電源を必要としないことを特長とした光センサを利用し,海水温,潮位(水深)の連続測定に関し,海中における利用を実現した(ニュースリリース)。

光給電システムはレーザ光を電力に変換するもので,光ファイバを用いた電力の供給を可能にする。一方,一回線で送れる電力は75mWと微量であるため,従来の電気式センサをそのまま駆動することは困難だった。

今回,光給電システムにより供給される電力を一定量まで蓄え,所定の間隔でセンサを起動させるとともに,光モデムに給電するシステムを開発した。

観測結果は,光モデムにより変換され,光ファイバにより離れた場所まで伝送可能であり,海水温はもちろんのこと,海中の水素イオン濃度(pH),溶存酸素濃度(DO),塩分などの水質観測結果を遠隔地から連続的に監視することを可能とした。

これらの計測結果については,気象庁の潮位データ,各種計測器との比較により,精度が確保されていることも確認した。

海中におけるセンサの利用に関しては,電食による腐食の恐れがあるが,防食板の利用により,これを克服。また,光ケーブル,センサの設置技術の確立により,長期間安定した計測を可能とした。

長期に渡る観測結果から,海流,水温,気象状態などが水質に与える影響を明らかにするとともに,養殖施設などにおける水質変化の予測を可能とし,斃死の回避などの効果が期待できる。また,港湾施設などにおける利用,応用などにより,効率的な漁業,防災・減災への利用などが期待できるとしている。

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