東工大細野教授ら,IGZOで井上春成賞を受賞

東京工業大学の細野秀雄教授とJX日鉱日石金属は,「酸化物半導体In-Ga-Zn-Oスパッタリングターゲットの開発」により「第40回井上春成賞」を受賞した(ニュースリリース)。

同賞は,大学・研究機関などの独創的な研究成果をもとに企業が開発・事業化した優れた技術について,研究者および企業の双方を表彰するという日本の代表的な技術賞の一つ。

科学技術振興機構(JST)の前身である新技術開発事業団の初代理事長であり,工業技術庁初代長官でもあった井上春成氏が,わが国科学技術の発展に貢献した業績に鑑み1976年に創設した。

酸化物半導体In-Ga-Zn-O(IGZO)は,細野教授により1990年代半ばより独自に研究がはじめられ,2004年に高性能TFT(薄膜トランジスタ)へ利用可能であることが示された。

その後各社による実用化に向けた開発が行なわれる中,2010年にJX日鉱日石金属(電材加工事業本部薄膜材料事業部)が他社に先駆けて初めて,長さ2.7メートルの大型スパッタリングターゲットの量産化に成功した。

IGZO-TFTを用いたディスプレイは,高精細・低消費電力・フレキシブルといった優れた性能をもち,今後ますますの市場拡大が見込まれている。