自動運転システムは2018年頃に実用化

矢野経済研究所では,自動運転システムの世界市場について調査を実施した(ニュースリリース)。

調査は乗用車および,車両重量3.5t 以下の商用車に搭載されるシステムを対象とした。また,米国運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)が発表している,5段階の自動運転システムの自動化レベル分類を用いて,世界の搭載台数を算出している。

それによると, 2015年から2017年にかけて,高速道路における渋滞時の低速追従自動走行,自動駐車システムなどのレベル2(部分的自動運転)の自動運転システムが高級車を中心に搭載が活発化する見込み。

特に米国市場では,日米欧各国の自動車メーカが自動走行試験を実施中で今後の採用が進み,2020年のレベル2の自動運転システム世界搭載台数は360万台に拡大すると予測する。

レベル3(条件付自動運転)の自動運転システムは,米国において2018年頃に実用化されるとしている。高速道路における車線変更や追い越し,合流,障害物回避,料金所通過などの運転作業を全てシステムが行なう。

レベル3の自動運転システムでは,緊急時以外はドライバーが運転作業に介入しない。レベル2よりも技術的ハードルが高く,現状使われているレーダやカメラ(イメージセンサ)の他に広範囲の物体認識が可能なレーザスキャナ,車車間通信や路車間通信(V2X:Vehicle to X),3次元地図データ,法整備なども必要となる。

すでに日米欧各国ではレベル3の実現に向けて民間,政府が協力して技術開発や法改正を推進しており,2018年~2019年頃にはレベル3 の自動運転システムが米国市場で実用化されるとしている。

その後,欧州や日本でも実用化が進み,2025年のレベル3の自動運転システム世界搭載台数は361万9,000台に拡大すると予測する。

自動運転システムはレベル2(部分的自動運転),レベル3(条件付自動運転)の普及が日米欧各国で拡大し,コストダウンも進む。このため,レベル2,レベル3の自動運転システムの搭載がミドルクラス以下の車種でも増加する見込み。2030年の自動運転システムの世界搭載台数は,レベル2が3,155万台,レベル3が979万8,000台に達すると予測する。