カーリットHD,赤外線サーモグラフィ用材料市場に参入へ

カーリットホールディングス・R&Dセンターと,グループ会社のシリコンテクノロジーは,新たに赤外線サーモグラフィ用材料市場への参入を目指すと発表した(ニュースリリース)。

欧州では保険制度が改定され,2018 年から夜間歩行者検知を満たす製品がポイント加算対象となり,車載ナイトビジョンカメラの需要が高まっている。また,監視カメラ,エネルギー監視用途での利用増も期待されており,2012 年時点で 2,200 億円規模の非冷却遠赤外線カメラ市場は,今後も 2 倍以上に伸びると予想されている。

一方,遠赤外線カメラやセンサのレンズや窓材として用いられる Ge やカルコゲナイドガラスは原料資源の絶対量が少なく,またコスト高といった点で普及への障害となっている。こうした状況にあって,同社は資源が豊富で,低コスト化が可能な シリコンに着目。

シリコンテクノロジーでは半導体用シリコンウェハの製造を行なっていたが,赤外線カメラ用途としては,結晶内の酸素を除去するという技術的難点があった。今回このこの問題を解決し,従来品よりも高い性能を引き出すことに成功。赤外線カメラ用途に使える材料の開発が実現できると判断し,参入を決めた。

単結晶シリコンの製造方法にはFz法とCz法があるが,Fz法による製造は,遠赤外線の透過率が高く遠赤外線カメラやセンサ用材料として高い性能が得られるものの,高コストで小口径に限られるというデメリットがある。一方のCz法では低コストで大口径の製造が可能だが,遠赤外線の透過率が低く,人感センサなど用途が限定されてた。

同社は,Cz法による製造を採用しているが,さらに装置や環境をコントロールすることで,Cz法並みの低コストでFz法並みの高性能なシリコン材料の開発に成功した。また,Geについても製造技術を確立し,供給体制を整えつつあるとしている。

同社では2016年度上期の上市を目指して開発を進めているが,タムロンを含む国内外の複数の企業と評価を行なっている。また,従来にはない性能を持った材料へのニーズもあることから,シリコン,Geの結晶系のほか,複合系材料の開発にも着手しているという。