米コヒレントは,高平均出力と短パルスの組み合わせを実現し,光遺伝学(オプトジェネティクス)研究をはじめ,スクライビングや光造形などの先端産業用途のために高強度な集光ビームを可能にするフェムト秒ファイバレーザ「Fidelity10」と「Fidelity18」の2モデルをリリースした(ニュースリリース)。
新モデルは波長1040nm,パルス幅140fsで,出力はそれぞれ10W(Fidelity10)と18W(Fidelity18)。優れたビーム質(M2<1.2)も兼ね備えているため,他のレーザよりも高いピークパワーと高強度な集光ビームを実現する。 加えて,ソフトウェアが調整可能で,かつ群速度分散補正機能を内蔵しているため,ユーザは,サンプルに合せて,パルス幅とピークパワーを最適化できる。 ファイバレーザは,ハンズフリーで長期間安定動作するため,メンテナンスの必要性が低く,またランニングコストも抑えられるといった利点を持つ。新モデルは,これらの利点に加えて高出力なので,理科学用途から使用環境が過酷な産業用にも対応する。 同社では,産業分野で採用されている高加速寿命試験(HALT)/加速ストレス性能試験(HASS)を実施することで,産業レベルの信頼性を実現するフェムト秒レーザを製品化している。 新モデルは,例えば光遺伝学では,高出力化により多くの神経系細胞を同時に光活性化できるため,複雑さが増す実験に貢献できる。またマルチフォトンイメージング応用では,イメージングの高速化を実現する。 さらに高安定性,高出力及び優れたビーム質は,チューナブルOPOや非線形ファイバーの励起など,非線形光学応用によく適合しする。これらの特長により,スクライビング,2光子光造形,導波路,マイクロ流体工学,表面加工などの微細加工応用にも有用だとしている。 その他の仕様は,パルス繰返周波数:80MHz,パルス幅:140fs。