コヒレント,ライフサイエンス向け全固体レーザを発売

米コヒレントは,MALDI-TOF(マトリックス支援レーザ脱離イオン化法 – 飛行時間質量分析)やレーザマイクロダイセクション,レーザ誘起蛍光(LIF)などの応用において,高速かつ高品質な処理を可能にする超小型パルスレーザ「Flare NX」をリリースした(ニュースリリース)。

このシリーズは,1030nm,515nm,343nmの3波長モデルをラインアップしており,高パルスエネルギー(>500µJ@1030nm,>300µJ@515nm,>100µJ@343nm)でありながら,優れたビーム質(M2<1.2),短パルス幅(~1ns)を実現している。 その短パルスにより,MALDI-TOFの質量分解能など,様々な応用で時間分解能を向上。また高いパルスエネルギーは,SN比の改善をもたらし,数パルスでの測定を可能にする。加えて,高いビーム質は,顕微鏡応用で高い空間分解能を実現するとしている。 MALDI-TOFは,タンパク質やウイルスのような大分子の研究など,ライフサイエンス分野で広く利用されている質量分析の1種で,これまでは低繰返し周波数(最大100Hz)の窒素レーザを用いて構成されていた。 この装置に高い繰返周波数のレーザを採用することにより,窒素レーザを搭載した従来型装置に比べ,高速でデータ処理が可能になる。また空間分解能や優れた質量分解能を実現しながら,高速化のニーズを満たし,簡易設置のため,MALDI-TOFの測定コストも低減する(2ギガパルス以上の寿命を実現するため,窒素レーザよりもパルスあたりのコストを大幅に低減できる)。 このレーザの他の応用として,レーザマイクロダイセクション(顕微鏡下で組織切片を観察しながら,特定の細胞をレーザによって切り出す応用)がある。この応用においても,この製品の高繰返し周波数,高パルスエネルギー,優れたビーム質などの特長が,高スピードと切断面の改善に貢献するとしている。