三菱電機,リアルタイムレーザ点群生成技術を開発

三菱電機は,高精度GPS移動計測装置であるモービルマッピングシステム(Mobile Mapping System:MMS)の新技術として,リアルタイムレーザ点群生成技術を開発した(ニュースリリース)。これにより,車で走行しながら3次元空間位置データ(レーザ点群)をリアルタイムで把握できる。

MMSは,道路の維持管理に必要な道路台帳附図作成業務をはじめとした公共測量や路面調査,トンネルの調査点検などに活用されてきた。しかし,従来のMMSは,GPSアンテナ・レーザスキャナ・カメラなどの機器で取得したデータをGPS位置補正情報と組み合わせる事後処理が必要であり,計測結果が現場ですぐに確認できないという課題があった。そのため,現場での迅速な状況判断や意思決定ができず,作業の手戻りが発生することがあった。

近年,従来MMSが導入されてきた測量分野に加えて社会インフラ管理市場での利用も期待されるほか,ITS分野における自動運転用の3次元基盤地図整備へのニーズが高まっている。また,自然災害への即時対応や重要施設周辺の警戒・警備の高度化,さらに2020年東京オリンピックに向けた警備・監視分野においても3次元空間位置データのリアルタイムな活用が期待されている。

開発した技術はリアルタイムで3 次元空間位置データを作成し,迅速な状況判断を支援できる。例えばリアルタイムで3次元空間位置データを作成し,計測結果を現場で確認することで迅速な状況判断が可能となる。これによって,測量業務の効率化に貢献するとともに,災害時には被害程度を即時に計測することで,救助活動や復旧活動の早期展開を支援することができる。

また,事前に取得したデータとの差分抽出時間の間隔を短くすることで,イベント会場などでの不審物の早期発見を可能とし,警戒・監視の高度化を可能にするとともに,3次元空間位置データを無線伝送することで,遠隔地での同時モニタリングも可能となる。

同社では今回開発した技術によるリアルタイム機能を,従来のMMSが活用されている測量分野に加え,災害対策,警備・監視,社会インフラ管理,ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)などの新たな分野に展開し,今年度から顧客ニーズに合わせて順次製品化する。特にITS分野では,自動運転用3次元基盤地図の整備促進に対応する。

また,2018年度に4機体制に整備される準天頂衛星のセンチメータ級測位補強サービスを活用したリアルタイム測位も実現するとしている。