日機装,深紫外LEDの量産出荷を開始

日機装は,高出力で長寿命を特徴とする深紫外線LEDの本格的な量産出荷を2015年5月より開始した(ニュースリリース)。今回,新たに量産出荷を開始したのは,中心波長が300nm,285nm,265nmの3つの波長帯のもので,3.5mm×3.5mmのセラミックパッケージにチップ搭載された表面実装(SMD)タイプのもの。

光出力はそれぞれ30mW,30mW,12mW(いずれも350mA駆動時標準値)であり,従来の他社製品と比較し,約3倍の高光出力を達成している。駆動電圧は,独自の電極形成技術により低く,安定に維持され,低電圧・高効率というLEDの特長を損なわないように工夫している。

具体的には,深紫外線LEDでは,結晶材料のAlGaN結晶のAl組成比率が高いため,低抵抗の結晶が得にくく,従来技術ではLEDの内部抵抗が高くなっていた。同社は独自の電極構成とその形成方法に改良を加え,LEDの内部抵抗を小さく維持することに成功した。

加えて,通電時の光出力の劣化率を非常に小さく抑え,特に,300nm,285nmの製品では,10,000時間以上(実力値は20,000時間)の製品寿命を達成した。これは,エピタキシャル成長時の温度および組成制御,電極構造の改善などを行い,劣化の原因を極力抑えたことによる。

深紫外線LEDは,これまで,医療応用での殺菌・治療,水および空気の殺菌,表面改質,あるいは樹脂/インク硬化用の光源として,装置の小型化,高効率化への寄与を目指して,研究開発がすすめられてきた。

同社は今回,長寿命で高出力な深紫外線LEDの量産を開始したことにより,これら用途に向けての実応用が加速され,水銀ランプを使わず,環境に配慮した器具・装置の開発が急速に進むものと予測している。

今回の深紫外線LEDの量産品は,石川県白山市の同社LED専用工場から出荷される。生産能力は,月産3万個から数か月以内に10万個に引き上げていく予定。