住友電気工業(住友電工)と大分ケーブルテレコム(OCT)は共同で,10Gb/sの通信速度を実現する10G-EPONシステムを利用した実証実験を5月に開始した(ニュースリリース)。
国内のケーブルテレビ事業者が10G-EPONシステムを使用したフィールド実験を行なうのはOCTが初で,住友電工は実験に使用する機器の提供とシステム構築を担当する。これらの機器・システムは米国CableLabsよりDPoE 1.0認証を取得しており,CATV事業者が光アクセス網を展開する上で,従来のCATV運用管理技術であるDOCSISと光アクセス通信技術であるEPONを統合し,既存CATVインフラ設備と管理システムをそのまま活用することができる。
実験では10Gb/sの高速通信規格10G-EPONに対応したPON回線カード「FCM7133」を搭載した次世代EPONシステム局側装置「FSU7100」,同機器と接続して10Gb/sで通信を行なう加入者側端末「FTE7502」及び1Gb/sで通信を行なう加入者端末「FTE6083」が使用されている。CATV事業者は1Gb/s通信サービス加入者宅に設置されている既存の端末を交換することなく,局側装置の交換だけで10Gb/s通信サービスを開始することができる。
また,10Uサイズの局側装置「FSU7100」は1筐体で 10G-EPON対応PON回線カードを最大128ポート分,1G-EPON対応PON回線カードなら最大160ポート分の収容が可能な高密度実装を実現。さらにL3スイッチ内蔵によりセンター設備の省スペース化に貢献する。
OCTはこの実験で,既存CATVサービスへの影響や10G-EPON対応の局側装置を用いた省スペース化による運用コストの削減効果,最大通信速度を10Gb/sへ引き上げることによる高速通信サービスメニューのラインナップ強化に向けた検証を行なう。また住友電工は,得られた10G-EPONシステムの実フィールドでの伝送性能データ等を参考に,更なる性能・機能向上に役立てていくとしている。