コニカミノルタ,1粒子蛍光ナノイメージング病理診断を開発

コニカミノルタは,NEDOプロジェクトにおいて,1粒子蛍光ナノイメージングによる分子病理診断技術として,高輝度を有する蛍光剤を結合した蛍光抗体を用いて高精度かつ定量的に病理切片を解析し,がん治療薬の選択を含む正確な診断を目的に研究開発を実施した。

その結果,病理切片上でのタンパク定量法として1粒子蛍光ナノイメージング技術を用い,前臨床~臨床段階での治験支援ビジネスの展開,並行して,コンパニオン診断薬開発受託及びその販売ビジネスの展開が見通せる成果を得た(ニュースリリース)。

医療,ライフサイエンスの分野では,蛍光物質を用いた検出手法が細胞イメージングや生体イメージングの研究開発に利用され,注目されている。これら蛍光検出技術の一分野として,有機蛍光色素を用いた検出技術がある。しかし,従来の有機蛍光色素を用いた場合には,1)輝度が低い,退色する,2)感度や定量性が低い,という課題があった。

NEDOプロジェクトにおいて同社は,1粒子蛍光ナノイメージングによる超高精度がん組織診断技術及びシステムの開発を実施し,銀塩写真用粒子の開発で培った技術を応用することにより,粒径分布が極めて小さいナノサイズの蛍光体粒子(蛍光ナノ粒子)を開発した。

この蛍光ナノ粒子は,市販量子ドットの100倍以上の蛍光強度を有し,汎用顕微鏡で目視確認できる高輝度化を実現するとともに,10分間の励起光照射後も蛍光強度を安定に維持する特徴を有し,輝度と退色の課題を解決した。

高輝度化により,蛍光が組織由来の自家発光や細胞形態標識剤のヘマトキシリンやエオジンの発光を大幅に上回り,形態と蛍光の同時観察が可能となった。また,退色抑制技術の導入により,従来使用されている有機蛍光色素と比較すると格段に観察中の安定性が向上する。

同時に,蛍光粒子の表面修飾技術と蛍光粒子用染色材料の開発により,これまで量子ドット等で問題となっている非特異的吸着を大幅に低減する事が可能となった。この蛍光ナノ粒子と表面修飾技術,染色技術を病理分野に応用することで,がん組織の特定タンパク質の検出感度と定量性の大幅な向上を可能とした。

同社は新開発の蛍光ナノ粒子と表面修飾技術,染色技術を臨床現場等で広く利用されている検体(ホルマリン固定パラフィン包埋組織)を用いてHER2,Ki-67,c-Met,PD-L1を対象マーカー(今後順次追加予定)とした蛍光ナノ粒子染色標本を作製し,顕微鏡画像,画像解析(オプション)のサービス提供を予定している。

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