NIFS,核融合に向けた3つの成果を発表

自然科学研究機構 核融合科学研究所(NIFS)は,平成26年度の研究を終了し,核融合研究を更に前進させる3つの研究成果を発表した(ニュースリリース)。



大型ヘリカル装置(LHD)は,岐阜県土岐市にある我が国独自のアイデアに基づくヘリオトロン磁場を用いた世界最大の超伝導プラズマ閉じ込め実験装置。これによって,定常高温高密度プラズマの閉じ込め研究を行ない,将来のヘリカル型核融合炉を見通した様々な学術研究が行なわれている。

今回発表した成果は以下の3つ。
①大型ヘリカル装置(LHD)において,イオン温度7,000万度及び電子温度8,800万度を同時に達成した。また,1億2,000万度の電子温度を平均電子密度20兆個/ccで達成した。さらに,ベータ値4%を超える高いプラズマ圧力を,従来より高い磁場強度1万ガウスにおいて達成することにも成功した。

②LHDの周辺に存在する乱れた磁力線構造内に,閉じた磁気面が存在することが理論的に知られていたが,米プリンストンプラズマ物理研究所との共同研究により,この予想をコンピュータシミュレーションで再現することに成功した。この結果,LHDのプラズマ閉じ込め予測の研究が大きく飛躍することが期待される。

③プラズマからの強い熱を受ける機器の材料として期待されているタングステンは,高温で力を受けると破壊しやすいことが欠点だったが,カリウムとレニウムを添加して組織を微細化することにより,1,000度から1,300度の間における強度の低下を抑えることに成功した。

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