住友電気工業は,シングルモード光ファイバを超多心で接続可能,かつ耐ダスト性を持ち合わせた新しい光コネクタ技術を開発した(ニュースリリース)。
インターネット上で流通する情報を扱うデータセンターでは,近年の急激なデータ通信量の増大に伴い大規模化が進んでおり,センター内に張り巡らされた光ファイバ配線に,より高速大容量かつ長距離でデータ伝送することが求められている。
光ファイバには主に長距離伝送,大容量伝送に適したシングルモード(SM)タイプと,短距離伝送に適したマルチモード(MM)タイプがあります。現在データセンター内の光配線の大半はMM光ファイバだが,データトラフィック増大に伴い,今後SM光ファイバの導入が進むものと予想されている。
現在,光ファイバ配線をIT機器に接続する多心コネクタには,主にMPOコネクタが用いられている。MPOコネクタは,光ファイバの端面間に押しつけ力を掛けることで,光が伝送される部分であるコア同士を直接物理的にしっかり接触させるフィジカルコンタクト(PC)接続技術をベースとしている。
しかしながら,SM光ファイバのコア部分のビーム直径がわずか0.01mmと小さく,この部分にダストが付着すると損失が生じることから,コネクタ端面に付着したダストを事前に念入りに取り除く必要があった。また,今後心数が増えるに従いPC接続のために更に強い押しつけ力が必要となるため,着脱作業が難しくなるとともにコネクタの耐久性の低下が問題となる。
今回開発したレンズ結合型のSM多心光コネクタは,レンズでビーム径を約5倍に拡大することでダストの影響を少なくし,さらにコネクタから出射されたビームは一旦空間上を伝搬してから相手のコネクタに再度結合するので,コネクタ端面間は非接触で,心数が増えても押しつけ力を増やす必要がなく,PC接続で実現困難な超多心にも対応できる。また,表面がフラットなレンズを用いており,凹凸のあるレンズに比べてダストを容易に除去できる。
同社は,この成果を2015年3月に米国ロサンゼルスで開催される世界最大規模の光ファイバ通信の国際会議「OFC2015」にて発表するとともに,併設される展示会において,32心のシングルモード光ファイバコネクタを展示する。
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