古河電工ら,蛍光シリカナノ粒子を用いた食中毒菌検査薬を開発

古河電気工業(古河電工)は,大阪府立公衆衛生研究所と共同で,細菌性食中毒菌であるカンピロバクターの新検査薬の開発に成功した(ニュースリリース)。この開発は,生産及び流通現場における食中毒菌の検査時間の大幅な短縮化等を実現し,安心安全な生鮮食品の提供に貢献するとしている。

カンピロバクターによる食中毒は,日本国内では発生件数が最も多い細菌性食中毒。この食中毒の主な感染源は,食肉処理場における処理過程においてカンピロバクターを保菌している鳥の腸内容物に汚染された鶏肉による。

現在,カンピロバクター検査は,主に「細菌培養法」により実施されているが,培養に数日間という非常に長い時間を要するために,迅速な検査手法として,金ナノ粒子を用いた「着色イムノクロマト検査薬」が開発されている。この「着色イムノクロマト検査薬」は,105~106個程度のカンピロバクターが検出可能だが,「細菌培養法」と比べて検出感度はまだ十分とは言い難く,陽性検体を見逃すこともあるなどから,さらなる高感度が望まれていた。

今回開発グループは,古河電工が開発した蛍光シリカナノ粒子(Quartz Dot®)技術をカンピロバクター検査に応用した「蛍光イムノクロマト検査薬」の開発に成功した。

開発品は,Quartz Dot®とテストストリップから構成される一般的なイムノクロマト検査キットと同様のデバイス形態。検査方法は,被検液(増菌培養液等)とQuartz Dot®とを混合させて,その混合液をテストストリップの端部に滴下し,テストストリップ上で生じた蛍光発光を小型軽量な蛍光測定器で測定することで検出の有無を定量判定する。今回の開発では,大塚電子で開発された蛍光イムノクロマトリーダーを使用してシステム全体を最適化した。

この検査薬は,「細菌培養法」では数日かかるカンピロバクター検査時間を大幅短縮できること,さらに金ナノ粒子を用いた「着色イムノクロマト検査薬」に対しても50倍以上の検出感度を有したことなどから今後,食品・食肉全般のカンピロバクター検査への応用が大いに期待されるとしている。

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