【3/6追記】凸版印刷,プリンテッドエレクトロニクスによりカラー電子ペーパーを製造

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトにおいて,凸版印刷は,プリンテッドエレクトロニクス技術によるTFTを開発した。さらに同社は,このTFTを用いてフレキシブル電子ペーパーを開発するとともに,カラーフィルタ技術を適用し,部分的なカラー化を可能にしたレール型電子棚札(ESL)を実現した(ニュースリリース)。

今回開発したフレキシブル電子ペーパーは,全印刷型フレキシブルTFTとE Ink電子ペーパー前面板を組み合わせることで実現している。

従来困難であった全印刷型フレキシブルTFTは,有機半導体材料,導電性材料,絶縁性材料などを積層する印刷プロセスの確立により可能となった。プラスチック基板上に印刷プロセスでTFTを掲載するためには,これらの材料に適した印刷方法を使い分ける必要があり,複数の層を精度良く位置合わせすることが重要となる。

具体的には,•高精細電極形成を可能とする転写印刷プロセス技術(高解像性,直線性,平坦性を実現)•ライン/スペース 1μm/1μmの高精細銀配線•有機半導体層形成を可能とするフレキソ印刷プロセス技術•印刷TFTアレイ製造技術(TFT素子の高移動度化とバラツキの低減)などの技術が必要となる。

凸版印刷は同社が強みを有する印刷テクノロジーを駆使することで,これらの課題を解決し,全印刷型フレキシブルTFTを実現した。同社はさらに,このTFTを用いて薄く・軽く・曲がるフレキシブル電子ペーパーを開発し,レール型ESLに適用した。またカラーフィルタ技術を適用し,部分的なカラー表示を可能としたレール型ESLを世界で初めて開発した。

このレール型ESLは,薄く,軽く,割れないプラスチック基材を用いるため,割れずに安全であり,また湾曲表示が可能であるため,どこからも見やすいという特長がある。今後同社は,これらの技術をスーパーマーケットなどの商品棚に使われる価格表示システムに適用し,見やすさと超低消費電力を両立したレール型電子棚札の2017年度の実用化を目指す。

【3月6日追記】同社は3月3日から6日まで東京ビッグサイトで開催された「リテールテック2015」で,開発した電子ペーパーを参考出品した。展示品の仕様は,サイズ878×15mm,解像度120ppi,曲率半径50mm。正確な厚さは公表していないが,レール型ESLとしては問題の無い程度に収まっている。

現在,液晶を用いたESLが多く製品化されているが,表示を保持するには電力を常時必要とするため,電池などの電源が必要となる。電子ペーパーは液晶と異なり,表示を変更するときしか電力を必要としないため,太陽電池などの電源を備えれば電池交換が不要というメリットがある。同社は今後,こうした電源の整備や表示データの受信機を付属するなどして製品化する。価格は上記サイズで1枚1万円程度になる見込み。

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