日立,HMDとAR技術を用いたハンズフリー型現場保守・点検作業支援システムを開発

日立製作所(日立)は,着脱式カメラ付のヘッドマウントディスプレイ(HMD)とAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を用いたハンズフリー型の現場保守・点検作業支援システムを開発した(ニュースリリース)。このシステムは,同社が2014年2月から販売しているクラウド型機器保守・設備管理サービのオプションサービスとして,国内外の工場・プラントや水処理施設などの社会インフラ事業者向けに2015年7月から販売を開始する予定。

同社はモバイル端末上で現実の画像・映像に情報を重ね合わせて表示するAR技術を用いて人手による保守・点検作業ナビゲーションの試験を行ない,ヒューマンエラー抑制に取り組んできた。さらに,2014年9月には,HMDとカメラを組み合わせたウエアラブル端末を用い,ハンズフリー化の試験運用を開始した。

今回,これらの取り組みをもとに,着脱式カメラとHMDを一体化したウエアラブル端末を用いたハンズフリー型の現場作業支援システムを開発した。具体的には,現場作業者が機器・設備に貼付したマーカーをカメラで読み込むと,AR技術による作業ナビゲーションがHMD上に表示される。作業スタッフは,目線を変えずに必要な情報を確認できるとともに,両手を使って作業を行なえるので,現場作業の効率・安全性を向上する。これらの作業内容は設備管理ソフトと連動して記録・管理できる。

カメラは着脱式で,小型,かつ無線通信機能を有しているため,これまでは死角となりやすかった機器や配管の裏側・隙間などの撮影を行ないやすくなり,点検作業の効率が向上する。また,高輝度のディスプレイを搭載しているため,屋外・屋内にかかわらず高い視認性を確保している。さらに,ヘルメットには約2~8時間の連続動作に対応するバッテリーを装着しており,長時間の連続作業にも対応する。

数多くの拠点や広大な敷地を持つ場合には,現場作業者がこのシステムを活用することで,監督者が遠隔地に居る場合でも,より的確な指示を行なうことができるとしている。特に,これまで有識者や熟練技術者を現場に派遣せざるを得なかった特殊な作業でも,遠隔地からの作業指示で対応することが可能になるという。