光産業技術振興協会は第30回櫻井健二郎氏記念賞の受賞者を発表した。
この賞は,元・電子技術総合研究所・電波電子部長で同協会・理事だった故・櫻井健二郎氏が光産業の発展に尽くした多大の功績をたたえるとともに,光産業及び光技術の振興を図ることを目的として創設したもの。
今回は「プラズモン効果による超解像度顕微鏡に関する先導的な研究」で大阪大学大学院工学研究科・教授の河田聡氏と,「CIS薄膜技術による第2世代薄膜太陽電池の実用化」で昭和シェル・エネルギーソルーション事業本部担当副部長の櫛屋勝巳氏が受賞した。
河田氏は,金属ナノ構造とフォトンとの相互作用に関わる多くの新しい概念を提唱・実証し,プラズモニクスの領域拡大と技術開発の展開を先導。特にナノサイズの先端径を持つ金属探針を用いることにより,プラズモン効果に基づくラマン散乱光の超解像度顕微システムを世界に先駆けて開発した。河田氏は,開発した顕微システムの製販を手掛けるベンチャー企業「ナノフォトン」を設立し,会長を務めている。
櫛屋氏は,Cdフリー・鉛フリーの高効率CIS薄膜太陽電池の開発とその事業化の推進に従事。子会社であるソーラフロンティアが国内において1GWラインでフル生産を行なっている。同社は国内市場に加え,海外市場における太陽光発電事業を強化しており,CIS薄膜太陽電池の安定供給を図っている。
両受賞は,いずれも技術開発から実用化に至っていることに対して高く評価されたものとなった。授賞式は2月4日,リーガロイヤルホテル東京(東京都新宿区)において行なわれ,賞状と副賞としてメダル,賞金が授与された。