大日本印刷(DNP)は,20nmレベルの半導体製造に対応したナノインプリントリソグラフィ(NIL)用の “型(テンプレート)” の生産体制を構築し,本年2015年中に量産を開始する(ニュースリリース)。
NILは,製造装置の構造が比較的単純で,複雑な光学系装置が不要なため,大幅なコストダウンが可能となる革新的な次世代リソグラフィ技術として注目されてきた。今回量産を開始するのは,マスターテンプレートと,それを原版として作製する複製型(レプリカテンプレート)。
NILは,大幅なコストダウンが可能だが,シリコンウエハ上に直接テンプレートで型押しして半導体回路パターンを等倍で転写する製造方法で,半導体量産時にはテンプレートが消耗するため,定期的に交換する必要がある。シリコンウエハに回路パターンを型押しするレプリカテンプレートを,半導体回路と等倍のマスターテンプレートから作製するが,これまでは20nmレベルのマスターテンプレートの製造や,レプリカテンプレートの安定的な作製が困難だった。
同社は2003年よりNIL用テンプレートの開発に取り組んできた。マスターテンプレートの製造に必要な高解像度描画装置を導入するとともに,その装置や製造プロセスの材料や条件の見直しを行なうと共に,徹底した工場のクリーン度の管理,加工環境への異物の持ち込みの排除の実施,新しい基板洗浄技術の採用によってデブリの問題を克服するなどしてプロセス技術を確立し,今回,他社に先駆けて20nmレベルのNILテンプレートの生産体制を構築した。
同社は今後,同社製テンプレートを業界のディファクトスタンダードにしていくよう努めるとともに,従来の光リソグラフィ用フォトマスクと,次世代リソグラフィ技術であるNILテンプレートとのハイブリッドな供給体制によって,トータルなリソグラフィソリューションを半導体業界に提供していく。
また,半導体メーカや電子機器メーカに今回量産を開始するナノインプリント用テンプレートを提供し,2015年度と2016年度の累計で50億円の売上を目指す。さらに,2017年までに15nm以下のテンプレート製造の実現に向けて開発を進めていく。