新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と技術研究組合NMEMS技術研究機構は,無線通信機能,自立電源機能,超低消費電力機能を搭載したグリーンMEMSセンサを開発するとともに,このセンサを用いたセンサネットワークシステムを構築,先進的エネルギーマネジメントの省エネ効果について実証実験を行なったところ,10%以上の省エネ効果を確認した(ニュースリリース)。
従来の機器の効率向上や断熱による省エネに変わる,ICTを用いたマネジメントによる先進的な省エネ手法が注目されている。ただし,この手法では,多くのセンサを配置したセンサネットワークを構築することが重要だが,これまではセンサの大きさやバッテリー交換等の制約によりその普及が進んでいなかった。
そこで,NEDOと技術研究組合NMEMS技術研究機構は,2011年度より,グリーンセンサ・ネットワークシステム技術開発プロジェクト(現・社会課題対応センサーシステム開発プロジェクト)において,センサネットワークに使用されるセンサデバイスの共通的な課題である,無線通信機能,自立電源機能及び超低消費電力機能を搭載するグリーンMEMSセンサの開発と,開発したセンサを用いたネットワークシステムの構築及びその導入による先進的エネルギーマネジメントの省エネ効果について実証実験を行なってきた。
その結果,センサ自身のグリーン化・省エネ化(超低消費電力化,小型化)という新たなコンセプトのもと,省エネセンシング,省エネ通信方式,微小圧力変化をトリガーとして動作するイベントドリブン駆動,フレキシブル電源等の要素技術をインテグレートしたセンサを開発した。具体的には,無線通信機能,自立電源機能及び超低消費電力機能を搭載した(1)電流・磁界センサ,(2)塵埃量センサ,(3)ガス(CO2,VOC)濃度センサ,(4)赤外線アレーセンサとなる。
また,これらのセンサを用いたセンサーネットワークシステムを店舗,オフィス及び製造現場等において構築し,環境計測やエネルギー消費量等の把握(見える化)及びエネルギー消費量の制御(最適化)により,10%以上の省エネ効果を実証実験により確認した。
今後,このプロジェクトの成果については,グリーンセンサでスマート社会の実現を目指して,省エネばかりでなく,社会インフラ,農業,健康医療分野等の社会課題への応用が期待されるとしている。また,順次プロジェクトの成果が実用化されることが期待されており,オムロンはプロジェクトで開発した成果を活用した人感センサを,2015年上期に,主として実証実験を目的とした販売開始を予定している。
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