東大ら,赤外線天文衛星「あかり」の詳細な遠赤外線全天画像データを公開

東京大学,JAXA,筑波大学,東北大学,英ラザフォード・アップルトン・ラボラトリー,英国立オープンユニバーシティらの研究グループは,赤外線天文衛星「あかり」のデータから,全天の遠赤外線画像データを作成し,完成したデータを,世界中の研究者が利用できるようにインターネットを通じて公開した(ニュースリリース)。

遠赤外線は,星・惑星系誕生の過程を知るために鍵となる波長帯。星を作る素となる星間物質(星の間にあるガスやダスト)の分布を知ることができ,その内部で星が生まれる様子をくわしく調べることができる。

東京大学らのグループは,赤外線天文衛星「あかり」のデータから,全天の遠赤外線画像データを作成し,世界中の研究者が利用できるようにインターネットを通じて公開した。今回完成したデータは,これまで利用されてきた遠赤外線全天画像と比較して解像度を4~5倍向上させ,観測波長もより長い波長に広げている。

具体的には,65,90,140,160㎛の4つの波長で,解像度およそ1分~1.5分角の全天画像を完成させた。これまでの観測データで最も長い波長は100㎛だった。長い波長の観測が加わることで,星間物質全体の温度と量を初めて正確に求めることができる。

この画像データは,星間物質の温度や分布を正確に測定したり,星間物質から星が作られ始める様子をくわしく調べたり,星間物質の背後に埋もれた宇宙背景放射の強さの分布を正確に測定するなど,天文学の非常に広い範囲の研究に貢献すると期待される。

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