ドイツの特殊ガラスメーカ,ショット (SCHOTT AG)は5日,同社が保有するショットモリテックスの株式71.6%をMVジャパンに対して売却予定であると発表した(ニュースリリース)。
MVジャパンは,中国で最大級の金融・産業コングロマリットであるシティック・グループに属する運用会社が設立したMVHC Limitedの完全子会社で,ショットモリテックスの株式を保有することを目的とし設立された。
売却はMVジャパンによる公開買付けに対する応募の形式で行なわれる予定で,ショットとMVジャパンは,同日付けで公開買付応募契約を締結した。なお,ショットモリテックスは,同公開買付けへの賛同の意見を表明している。
ショットは特殊ガラスの大手メーカとして,日本で50年近く事業を続けているが,戦略を策定し直し,中核事業である特殊ガラスおよびガラスセラミックスとその加工に集中することに方向転換した結果,ショットモリテックスの株式を売却するという結論に至ったとしている。
ショットは,今回の株式売却後も引き続き日本における事業に注力するとしている。東京と滋賀県甲賀市水口に拠点を持ち,営業,技術サポートおよび開発を行なっている同社と,同じく滋賀県甲賀市水口を拠点とする合弁企業NEC SCHOTTコンポーネンツを通して事業を拡大し,現在の事業領域で新たなイノベーションを推進していくとしている。
ショットモリテックスは,独自の光ファイバ技術やマシンビジョン技術等をコアテクノロジーとして,多彩なキーデバイス&システムを開発・製造・販売している。このうち,マシンビジョン分野においては,昭和48年の創業当初からの強みである光学・照明技術を活用し,主に液晶製造装置業界,半導体製造装置業界,電子部品実装機業界向けに製品を提供しており,この分野では世界トップシェアを誇る。
ショットモリテックスは東京証券取引所第一部に上場しており,2008年にショットは公開買付けを通じて同社(旧社名:モリテックス)株式の7割超の取得を行なった。