山形大学と有機エレクトロニクスイノベーションセンター(INOEL)の研究グループは,従来よりも少ない電流で高輝度化が可能な,薄型・軽量の有機ELディスプレイの試作に成功した(ニュースリリース)。
バックプレーンには,新たに開発した塗布型有機トランジスタ集積パネルを用いており,印刷法による将来の製造プロセス革新を見据えている。試作したディスプレイは,基板サイズが10センチメートル×10センチメートル,表示部が3.25センチメートル×3.25センチメートル,解像度100ppi,厚さ0.25ミリメートル。
城戸淳二教授が開発したマルチフォトンエミッション有機EL技術を用い,発光部を2段に重ねることで明るくした。今回の試作には,山形大学の有機EL技術と塗布型有機トランジスタ技術,INOELが開発した有機トランジスタバックプレーン作製技術と有機ELパネル作製技術を結集した。
なおこの開発は,文部科学省とJSTが推進するセンター・オブ・イノベーション(COI)プログラム/山形大学COI-Tフロンティア有機システムイノベーション拠点における研究開発の一環として行なわれたもの。城戸淳二教授が進める未来の快適空間創造に関するテーマにおいて,壁紙ディスプレイ(コミュニケーションウォール)への適用を目指している。