日立ハイテク,近赤外線を用いた携帯型脳活動計測技術を試作

日立ハイテクノロジーズは,ヘッドセットとスマートフォンで,簡単に前額部の血流変化をリアルタイムに計測することができる携帯型脳活動計測装置の試作機を開発した(ニュースリリース)。

開発した試作機は,近赤外光を使って前額部の2点を計測するヘッドセットと,計測結果を表示するスマートフォン(Android OS)のアプリケーションで構成される。ヘッドセットは約100グラムで,計測した信号を処理する主要回路をヘッドセット内に集約することで携帯性を向上した。また計測した信号はスマートフォンのアプリケーションでリアルタイムに表示され,時間や場所を選ばずに脳活動を可視化する。

近年,スマートフォンをはじめとするウェアラブル端末で脈拍や視線の動きなどを簡単に計測できる技術開発が進んでいる。一方,脳活動を計測しその結果を活用する分野は,脳科学だけでなく,認知科学や心理学,教育などに広がっており,より日常生活に近い環境における計測のニーズが高まっている。

日立グループでは,日立製作所が1995年,近赤外光を用いた脳機能計測技術「光トポグラフィ技術」を世界に先駆けて開発した。その後,日常環境に近い状態で計測できることをめざし,技術開発を推進してきた。同社は,認知トレーニングや学習など幅広い分野における開発技術の活用に向けて,大学・研究機関の協力を得ながらさまざまな検証を進め,2016年の製品化をめざすとしている。

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