一般社団法人メディカル・イメージング・コンソーシアム(MIC)は11月10日,杏林大学医学部付属病院(東京・三鷹市)にて,世界初となる8K内視鏡を用いた手術を行なった。
8K内視鏡とは,スーパーハイビジョン(SHV)の解像度(7680×4320)を持つ8Kカメラを用いた次世代の内視鏡。医師や医療機器メーカなどが相互協力して新たな医療機器の創出を目指すMICが主体となって開発を進めている。
MICでは昨年12月7日に,ブタを用いた8K内視鏡の動物実験に成功しており,今回は初めての臨床試験となった。手術はより小型化した8Kカメラを用いて,85インチの8Kモニタの内視鏡画像を見ながら行なわれ,予定通り無事終了した。
この日執刀したのは杏林大学 消化器・一般外科教授の森俊幸氏。70代の胆嚢結石患者2名に対し胆嚢摘出術を行なった。手術後,初めてヒトでの8K内視鏡手術を経験した森氏らからは以下のようなコメントが得られた。
・現在使用しているハイビジョンの内視鏡と比べてより細かい血管が見え,臓器表面の模様や,鉗子などの手術術具先端の細かい構造もくっきりと見える
・8Kの豊富な画像情報は,より安全で高度な手術につながる可能性がある
・カメラの小型軽量化,明るさやフォーカス,色の調整など改良すべき点もあるが,十分に将来性のある技術であり,例えば進行がんの手術などにおいてはがん組織を正常組織と見分けながら切除することも可能となろう
・今まで,ヒトには2K画像のみで十分術野が見えると話をしてきたが,8K画像を見てその考えが劇的に変わった
MICでは12月に眼科領域での8K顕微鏡手術(世界初)を予定しており,8Kの医療応用におけるさらなる可能性を追究していくとしている。
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