三菱重工,同社第一弾となる微細レーザ加工機を発表

三菱重工業は,レーザ加工機事業の製品第一弾となる微細レーザ加工機「ABLASER(アブレーザー)」を開発した(ニュースリリース)。独自の精密光学系ヘッドなどを駆使したことにより,各種穴あけをはじめとする精密加工を高速・高精度に行なうことができるとする。今年度内に販売活動を始め,さまざまな加工現場へのソリューション提案を通じて幅広い需要を開拓する。

新製品は,パルス幅が10ピコ秒以下の短パルスレーザ光を発振する高品質なレーザ発振器を採用。精密なレンズやプリズムなどを使ってレーザ光を自由に屈折させたり回したりできる光学系の集光ヘッドを搭載した。

高いピーク出力で加工部分をアブレーションさせることで,加工面への熱影響を抑制。穴あけでは放電加工を上回る寸法精度を確保し,穴の内径が円錐状に下部ほど広がっている逆テーパ穴や球状穴,楕円球状穴など難しい加工も短時間でできる。

主要構造物には熱変位が少なく防振効果の高いグラナイト(花崗岩)を使い,位置決め機構に精密スケールを搭載することで,従来のレーザ加工機を超える加工精度を達成している。さらに,先端工作機械と同じく5軸制御方式を採用したことにより,曲面形状や複雑形状に対する加工も容易になった。

同社は今年4月,レーザ加工機事業への本格参入に向け,工作機械事業部のソリューション技術センターに,社内で長年培ってきた関連技術を集め,独自のレーザ加工機をワンストップで開発する体制を整備した。新製品は,この体制のもとで製品化された。