三菱マテリアル,油水分離を可能とする世界初の「フッ素系化合物」を開発

三菱マテリアルと三菱マテリアル電子化成は,独自のフッ素化技術と有機合成技術により,油水分離を可能とする親水撥油特性を有する世界初の「フッ素系化合物」を開発した(ニュースリリース)。

さまざまな製品における「汚れ」対策には,主に「撥水撥油剤」あるいは「親水剤」が,塗布剤などとして使われている。 「撥水撥油剤」は,水も油も寄せ付けない防汚特性をもち,汚れの予防策として防水機能付の衣類やスポーツ用品をはじめ,スマートフォンやタブレットPCの画面における指紋汚れ防止などに,主に利用されている。

一方「親水剤」は,水に馴染むことで洗浄を容易にする易洗浄特性をもち,雨や水で容易に汚れが除去できるよう,建物の外壁や窓ガラス,自動車ボディなどに利用されている。

また,上記の両特性を併せ持つ「親水撥油剤」として,フッ素系材料と,酸化チタンあるいはシリカを複合化した素材があり,建物の外壁に利用された例はあるものの,瞬時に十分な親水撥油性を発現させることは困難だった。

開発品は,各種材料に塗布することで油汚れを防止し,除去を容易にするため,各種厨房機器,工場の床,機械装置,鉄道や自動車の油付着部などへの利用が期待される。

また,布製やセラミックス製など各種フィルタに塗布した場合,水を通しながらも油を通さない油水分離フィルタとなるため,油流出事故の復旧作業,石油資源の採掘現場,金属工場や食品工場の油含有排液の油分離装置など,大規模かつ効率的な油水分離処理が求められる,さまざまな分野への応用が期待される。

同社ではこの開発品について,市場ニーズを反映したさらなる新製品へ展開させるなど,新市場を創出し大型事業へ育成したいとしている。

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