NEDO,「太陽光発電開発戦略(NEDO PV Challenges)」を策定

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は,太陽光発電の新たな技術開発指針「太陽光発電開発戦略(NEDO PV Challenges)」を策定・発表した(ニュースリリース)。

新興国メーカのシェア拡大や固定価格買取制度の導入など,太陽光発電を取り巻く状況の変化を踏まえ,来たるべき太陽光発電の大量導入社会を円滑に実現するための戦略として,〔1〕発電コストの低減,〔2〕信頼性向上,〔3〕立地制約の解消,〔4〕リサイクルシステムの確立,〔5〕産業の高付加価値化,の5つの方策を提示。太陽光発電の導入形態の多様化や新たな利用方法の開発による裾野の拡大などを提言している。

その要点は,
1)2020年に業務用電力価格並の発電コスト達成大量導入社会での国民負担を軽減するため,業務用電力価格並の発電コスト14円/kWhの見通しを得た。
⇒ 今後は,これまで得られた開発成果を踏まえ,ヘテロ接合技術やバックコンタクト技術を用いた結晶Si太陽電池の高効率化,大面積化,モジュール化,量産化技術の開発等により発電コスト14円/kWhを実現。

2)2030年に基幹電源並の発電コストへ究極の低発電コスト(従来火力発電並の発電コスト7円/kWh)を目指す。
⇒ 結晶Si太陽電池の性能向上・コスト低減追求,超高効率太陽電池の量産技術開発,製造工程に真空や高温プロセスを要しない新たな太陽電池の実用化,システム効率向上,高信頼性モジュールの開発等により実現。

3)新たな価値創造で世界をリード導入形態の多様化や新たな利用方法の開発によって,太陽光発電の裾野を拡大。2030年の世界の太陽光発電市場を睨み,高付加価値産業(システム・サービス,新規用途)の開拓等,“世界で勝てる分野”を開発強化。
⇒ 着色,透明,フレキシブル等の意匠性,熱回収と発電のハイブリッド機能等の多機能化による太陽電池モジュールの付加価値や,独立電源利用時の配線コスト削減効果等の発電電力以外の経済価値創出,新たな低コスト設置技術の開発による導入先開拓や配電ビジネス等川下産業への展開等により実現。

発電コスト目標は,2020年に14円/kWh,2030年に7円/kWh。戦略の策定は,2009年の「太陽光発電ロードマップ(PV2030+)」以来,5年ぶりとなる。

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