NEL,20nm低電力コヒーレントDSPを世界初出荷

NTTエレクトロニクス(NEL)は,データセンタ間トラヒックの急伸を支える100G波長多重(WDM)光ファイバ通信システムの本格普及に向けて,業界初となる20nm 100G低電力デジタルコヒーレント信号処理LSI(100G LP-DSP)のサンプル出荷を開始した(ニュースリリース)。

1波長あたり100Gb/sの長距離光ファイバ通信を実現するデジタルコヒーレント信号処理(DSP)機能に,送信側デジタル・アナログ変換(DAC)や波形整形,100ギガビットEthernet(100GE)インタフェースの機能を加えてワンチップ化した。

また,送信側DACや波形整形,NTT研究所が開発した伝送路推定やOTNフレーマなどの諸機能も集積しており,プラガブル・コネクタにおける電気信号歪の補償,波長多重光信号の高密度配列,100GEデータセンタ間通信ソリューションへの適用が可能。

また,光ファイバ分散補償や符号誤り訂正などの能力を選択的に選べる電力最適化に対応しており,最小電力の80km ZR用途,省電力な600~1,200kmメトロネットワーク用途,高性能な2,000km超のコアネットワーク用途など幅広いソリューションを提供する。

さらに,米国Broadcom社との提携により業界最先端の20nm CMOSアナログ・デジタル混在(ミックスト・シグナル)IC設計技術を光通信ASSP(特定用途向け汎用ICチップ)に世界初適用し,既存ソリューション(40nm 3チップ構成)での消費電力や実装面積を70%削減するとしている。

この製品により,プラガブルなCFP型コヒーレント光トランシーバ実装や100Gマルチポート実装が可能となり,通信ネットワークのさらなる帯域拡大や柔軟性向上に貢献するという。

同社は,このLP-DSPをはじめとして,1チップ高機能100G OTNフレーマ,集積光受信モジュール(ICR)や小型集積波長可変光源(μITLA)などのコヒーレント光トランシーバ向け光コンポーネントの製品ラインナップを,ECOC2014(2014年9月22日~24日)に出展した。

なお,この製品には,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業に基づく,技術研究組合 光電子融合基盤技術研究所(PETRA)の研究開発により得られた成果を用いたという。