大阪大,ペプチドシークエンサーの動作原理の実証に成功

大阪大学の研究グループは,ペプチドシークエンサーの動作原理を実証した(ニュースリリース)。

個別化医療の実現に向け,遺伝子解析と同様に,タンパク質・ペプチドの超高速・超低コストなアミノ酸配列解析法の実現が期待されている。特に,ペプチドは創薬のターゲットになっており,ペプチドシークエンサーの重要性は高まっているが,これまで化学処理を必要としないペプチドシークエンサーは開発されていなかった。

また,修飾アミノ酸は,がんや自己免疫疾患などの病因・病態に深く関わるため,1分子レベルでの修飾アミノ酸検出法の開発が強く求められている。

研究グループは半導体技術を用いて,約1ナノメートルの電極間距離を持つナノギャップ電極を作製し,1個のアミノ酸分子を流れる電流により,ペプチドの部分アミノ酸配列の決定に成功した。また,酵素などのたんぱく質機能をスイッチする修飾アミノ酸分子の識別にも成功した。

ペプチドシークエンシング技術は,1分子の電気抵抗を計測するこれまでの技術とは全く異なる原理で動作しており,これまで解析が出来なかったペプチド解析の実現が期待される。

この開発した1分子解析技術は,ペプチドシークエンシング技術の基礎研究を応用化・実用化研究へと展開する最も重要な概念実証であることから,研究グループは今後の研究開発を飛躍的に推し進めると期待している。

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