島津製作所はイメージング質量顕微鏡「iMScope」の後継機「iMScope TRIO」を発売する(ニュースリリース)。価格は1億5,000万円。
iMScopeは科学技術振興機構の先端計測分析技術・機器開発プログラムの一環として得られた成果を製品化したものだが,今回新たに開発した「TRIO」は従来の質量分析イメージ,光学画像,定性分析という3つの特長をさらに発展させたもので,国内外のライフサイエンス系の研究機関や製薬企業,共同利用施設などでの幅広い用途に向けて市場投入する。
また,欧州連合(EU)の有害物質使用規制であるRoHS指令や安全などの規制であるCEマークに対応していることから,これまでの販売地域に加え,欧州およびロシア地域でも販売を開始する。欧州・ロシア地域は世界的な製薬会社や先進的な質量分析イメージングを実施している大学および研究機関が多く存在しており,「iMScope TRIO 」の販売によってそれらの研究を強力に支援できるとしている。
研究機関では正常な組織と疾患のある組織中の分子の分布状況の違いから疾患に特徴的なマーカーを探索できるツールとして,また製薬市場では薬そのもの,あるいはその代謝産物の分布を見る薬物動態解析や,薬が集積している組織周辺の代謝産物の変動を見る毒性評価,既知のみならず未知の物質の増減を検出することによる薬効評価といった用途に効果を発揮する。
国立がん研究センターとの共同研究では,従来の分析手法では測定できなかった生体組織内の薬剤分布を直接測定する技術を確立するなど,病気の超早期診断や創薬につながる先進的な研究成果が得られている。
今後研究機関などとの共同研究を進め,がん研究,脳機能解析などの基礎研究やDDS(Drug Delivery System:薬物送達システム),メタボロミクス(代謝物解析),法医学,脂質解析等のアプリケーションをさらに開発し,需要が高まっている臨床診断分野における効果的なツールとして今後年間で20台の販売を目指す。