三菱重工,常温ウェーハ接合装置による接合サービス事業を開始

三菱重工業は,自社開発の常温ウェーハ接合装置を使って,社外からの依頼に応じて多様な素材同士を接合する,ウェーハ接合サービス事業を開始した(ニュースリリース)。

常温接合は,イオンビームや原子ビームを真空中で照射することにより,ウェーハ表面を活性化させて接合する方式。通常の接合と違って熱を全く加えないため,熱膨張率が異なる材料同士の接合や,高い仕上がり精度が求められるMEMS製品,加熱ができないバイオデバイスなどの製造に適している。シリコン系,酸化物誘電体,ガラス,化合物半導体,金属,セラミックスなど幅広い材料を接合できる。

同社は2005年に常温ウェーハ接合装置を開発して販売を開始した。現在は三次元集積化LSI(大規模集積回路)が製造できる300mm(12インチ)対応の全自動ウェーハ接合装置までを製品化しており,MEMSセンサをはじめ,LED,高周波デバイス,バイオデバイス,パワーデバイスなどの分野で活用が進んでいる。

これまでは,同装置の導入を計画する企業や機関が,実際の材料サンプルを使った当社での接合テストを通じて,実機による接合の性能および品質について確認してきた。しかしここ数年,大学や企業の研究所,少量生産を手掛ける工場などから材料を接合することに特化した依頼が増大したため,導入計画の有無に関係なく接合サービスを受け付けることにしたという。

導入計画を当面は持たない企業や研究機関まで,接合サービスを対象を広げたことで,日本起源の技術である常温接合プロセスの有効性について認知を一層向上させ,装置の拡販につなげるとともに,接合サービスを新事業として育成する。

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