日本アビオニクス,金属材料の非接触微細溶接向けファイバレーザ溶接機を発売

日本アビオニクスは,スマートフォンをはじめとする情報機器やエコカーの需要増加に伴い軽量化・エレクトロニクス化が加速する自動車向けの,電子部品・二次電池・燃料電池などの製造において,金属材料の微細溶接を非接触で行なうファイバレーザ溶接機「LW-F300」を8月5日より発売する(プレスリリース)。

近年需要の高まっているレーザ溶接機の中でも,ファイバレーザ溶接機はビーム径が細くエネルギー密度が高い特長を持ち,微小な溶接物や反射率の高いアルミや銅の薄板などを高品質に溶接できる。新製品は,空冷構造のシングルモードファイバレーザ溶接機として初の光パワー高速デジタルフィードバック制御機能(制御周期 2μsec)を搭載することで,高い溶接性にきめ細かい安定性を付加した。

レーザは300Wシングルモード。高密度・高品質で安定したシングルモードビーム(ビーム径12μm)を出力。超微細溶接,細く深い溶接が可能。パワー密度が高いので,アルミ・銅などの高反射材料の溶接に最適なほか,焦点深度が長いのでワークの高さが変動しても溶接できる,さらにワークディスタンスも長いので装置化や治具の製作が容易といった特長を持つ。

出力光を常時モニタリングし補正する光パワー高速デジタルフィードバック制御により,安定した出力を得られるので,周囲温度変化時や起動直後も安定した溶接が可能。また空冷・卓上タイプのため,チラーなどの冷却装置が不必要で,作業スペースが確保しやすく,冷却水交換等のメンテナンスコスト・手間を削減できる。

ワークからの反射戻り光に耐性のある発振器構造のため,戻り光による動作停止や故障を防止するほか,任意の波形を高速連続照射できるため,リチウムイオン電池の封止などのシーム溶接に適している。

同社では新製品による溶接アプリケーションとして,二次電池のアルミケースの封止,ラミネート(ステンレス箔)の溶接,電池タブの溶接,また燃料電池の金属セパレータの溶接,ダイオード端子の溶接,その他電子部品などを想定している。また同社では,ワークで新製品の性能を確認できるサンプル実験を,無料で実施している。

主な仕様は以下の通り。
波長     :1,070nm
最大定格出力 :300W(クラス4)
最大周波数  :5,000Hz
出力制御モード:任意波形(シングル,リピート,シーム),CW,
        外部アナログ制御
モニタ表示  :レーザ出力(W),レーザエネルギー(J),平均出力(W)
アラーム機能 :レーザ出力,温度,電流,ファイバ破断
冷却方式   :空冷
入力電源   :AC200~240V ±10%,1φ,50/60Hz
最大消費電力 :2.6 kW以下
外形寸法   :W410×D600×H370mm(突起部を除く)
質量     :約58kg