三菱重工,レーザ加工機事業に本格参入

三菱重工業は,レーザ加工機事業に本格参入すると発表した(ニュースリリース)。同社は約30年間にわたり培ったレーザ制御・加工技術を活用して先進的なレーザ加工機を開発・販売していくもので,工作機械分野における新事業の柱に育成するのが狙い。

年内をめどに製品化を始め,切削加工や放電加工などでは難しい材料の精密加工をはじめ独自のレーザ加工機によりさまざまなソリューション提案を行なうことで,幅広い市場ニーズの掘り起こしを目指す。

今回,工作機械事業部が同社社内の全レーザ関連技術と,製造・加工現場がレーザ加工機に求める加工レベル・機能に関する情報を,機動的に結びつけられる体制を整えた。具体的には,工作機械関連技術と機械加工ニーズが集積しているソリューション技術センターに技術開発窓口を設置。各ドメイン・事業所が持つ製造技術革新ニーズを基にして,技術統括本部・研究所との連携により,独自のレーザ加工機をワンストップで開発・製品化できるようにした。

同社のレーザ制御・加工技術は,レンズやプリズムなど独自の光学系設計技術に加え,航空・宇宙分野やガスタービン,原子力分野など社内の先端事業で培ったレーザ加工技術を強みとしている。今回,さらに工作機械事業部の精密位置決め技術を組み合わせることで,さらに高精度なレーザ加工機の製品化を実現するという。

同社は,空中放電を利用するアーク溶接にレーザ溶接を同軸化して両技術の長所を引き出す,ハイブリッド溶接による溶接施工法を国内で初めて実用化するなど,社内の製造技術革新ニーズに対応するレーザ加工技術を開発してきた。一方,社外に向けては,レーザ発振器や光学系など中核部位・部品の提供にとどまっていた。

同社は今後,レーザ加工機に対する先端的な市場ニーズを踏まえて各種製品を開発するとともに,それらを実際の加工現場に提案することで潜在ニーズを探求し,一層付加価値の高い技術開発と製品ラインアップの拡充につなげていくとしている。