名大ら,3千光年離れた連星系中に地球に似た惑星を発見

名古屋大学,大阪大学,京都産業大学を中心とするMOAグループ(日本とニュージーランドの共同研究グループ)は,他のグループとの国際共同観測で,地球から3千光年離れた連星系の片方の星をまわる地球に似た惑星を発見した(ニュースリリース)。

MOAグループは,ニュージーランドに設置された専用1.8m望遠鏡を用いて,重力マイクロレンズ現象を利用した系外惑星の探索に取り組んでおり,今回の成果はこの現象を用いて検出した。発見された惑星の重さは地球の約2倍で,軌道半径は太陽と地球との距離(1天文単位)とちょうど同じぐらいだが,その主星は太陽の10分の1程度と軽く暗いので,-210℃程度と地球より非常に冷たく,木星の氷衛星エウロパより少し冷たい程度。

マイクロレンズ現象は,アインシュタインの一般相対性理論が予言する「光が重力によって曲がる」と言う性質のために起こる現象。ある星(背景光源)の前を偶然別の星(レンズ天体)が横切るとレンズ天体の重力によって背景光源からの光はあたかもレンズを通ったかのように曲げられて集光し,突然明るくなった様に見える。

普通の星がレンズとなると20日程度の間に,単調に明るくなって,また同じ時間をかけて元の明るさに戻っていく。しかし,もしこの星(主星)の周りに惑星があると,その惑星の重力の影響で単調でない増光や減光が余分に加わる。この余分な増光減光を見つける事で,そこに惑星がある事が分かる。

この主星は,15天文単位程度,つまり太陽から土星までの距離にある同程度の重さの星と連星系をなしている。この様な比較的近傍に伴星をもつ星で,しかも地球の様な軌道と質量を持つ惑星が発見されたのは初めて。

宇宙に存在する星の約半数は連星系をなしているが,連星系での惑星探査は難しくあまり進んでいない。今回の発見で,連星系中にも地球の様な軌道に地球型惑星が存在する事が明らかになったことで,今後地球の様な惑星の探査の可能性を大きく飛躍させる事につながると考えられる。