ヒューマンインタフェース関連市場,2020年には入出力系合わせて20兆円近くに

富士キメラ総研は,音声認識や生体情報などタッチ以外の新たな技術が活発化するヒューマンインタフェースの関連デバイス,システム,ソフトウェアの市場や技術動向,また,そのアプリケーションの市場動向について調査し,その結果を報告書「2014 ヒューマンインターフェース関連市場総調査」にまとめた(ニュースリリース)。

ここでの入力系市場とは,タッチや音声認識など人の動作の検知と機器伝達のために採用されるデバイスやシステム,関連ソフトウェアを指し,2020年には2013年比59.9%増の4兆95億円を予測している。最も普及しているのはタッチであるが,タッチ以外の技術では音声認識はすでにスマートフォンでは標準搭載機能となっている。近年では生体認証の採用が増加してお,技術も進歩している。今後はジェスチャーなども採用増が期待されるとしている。

出力系市場とは,ディスプレイや音声合成など機器が結果を伝達するために採用されるデバイスやシステム,関連ソフトウェア。2020年には2013年比25.0%増の15兆5,491億円を予測した。出力系は,ディスプレイのウェイトが最も高く,ヘッドアップディスプレイなどの新技術の採用も増加している。

ヘッドアップディスプレイは安全性意識の高まりから自動車への搭載が進んでいる。また,プロジェクタではプロジェクションマッピングなど新しいアプリケーションの獲得に成功しつつあることから,モニタだけでなく現実世界と映像を融合させるディスプレイの成長が期待される。音声合成も業務・インフラ分野で需要が増加していくとみている。

【光関連市場】
■タッチ
スマートフォン向けタッチパネル市場は2013年には1兆円を超えた。スマートフォンの需要拡大に伴い,前年比2倍以上となった。Windows8のマルチタッチに対応したノートPC向けは採用が進んだが,ノートPC全体の需要が落ち込んだこともあり,2013年は伸び悩んだ。

イメージセンサ方式や赤外線方式などを採用したタッチパネルは,大型ディスプレイへのタッチ機能の搭載増加に伴い普及しつつある。文教や会議などで使用されるインタラクティブボード向けを中心に今後市場の拡大が予測される。

タッチパネルの新規アプリケーションとしてインターネットTV用のスマートリモコンがある。このリモコンはタッチパネルを用い,スマートフォンやタブレット端末の様に直感的な入力ができるものの,スマートフォンやタブレット端末そのものをTVのリモコンとして採用するケースも増えており,普及は一部にとどまるとみられる。

また,2013年に投入されたスマートウオッチは,小型であるため多種類のスイッチを実装することができず,タッチパネルの搭載はほぼ必須となっている。特に,フレキシブル化が可能で,かつ表面硬度を保ったタッチパネルの採用が増加しており,今後の市場成長が期待できる。

■生体認証
指紋認証は生体認証の中でも最も歴史が長く,利用事例が多い。情報通信機器の普及によるセキュリティ意識の高まりを背景に,勤怠管理やセキュリティ向けなどで指紋認証センサ市場が拡大してきた。2013年はモバイル端末向けのウェイトが急激に拡大した。個人認証を行なうことができるため,画面ロック解除時にパスワード入力が不要になるだけではなく,電子決済を行う際にセキュリティの面でも安全であることから,採用に繋がった。

指紋だけではなく,虹彩や顔・表情など個人認証を行なうことのできる生体認証の採用が今後増えるとみられる。しかし,指紋認証は接触があるので確実な認証方法とはいえるが近接での認証に限られ,虹彩認証は非接触で行なえるため衛生的ではあるものの認証する距離の調整に課題が残るなど,それぞれ一長一短がある。今後各々の技術が弱点を克服することにより動向が変わっていくとみられる。