日立化成は,太陽電池の封止シート向けに,太陽光発電の変換効率向上に貢献する波長変換粒子の販売を開始する(ニュースリリース)。
普及が進む太陽光発電は,日照量や日照時間に左右されるなど課題も多く,特に,一定量の太陽光からいかに発電量を上げるかという変換効率の向上については,太陽電池メーカ,部材メーカにとって喫緊の課題となっている。
日立化成は太陽電池の封止シート向けに,発電効率向上を可能にする波長変換粒子を開発し,サンプル提供を行なってきたが,今回,量産体制を確立し,販売を開始する。この波長変換粒子はアクリル樹脂粒子内に蛍光体粒子を含有させたもので,これまで発電に利用できなかった短波長の光(紫外線)を長波長の光(可視光)に変換する機能を持っている。
この粒子を使用した封止シート(波長変換フィルム)を用いた太陽電池モジュールでは,変換効率の向上が最大で2.2%程度見込まれる。また,この粒子は耐久性に優れたアクリル樹脂に分散させていることから,太陽電池モジュールの耐久性を損なうこともない。加えて,封止シートメーカがこの粒子を封止シートに混合させる際,封止シートメーカ側でのプロセス変更の必要はなく,生産性には影響を来たさずに変換効率を向上させることができる。
同社では今後,この製品の特長である,短波長の光(紫外線)を長波長(可視光)に変換するという機能を活用し,光学部材への展開や,この粒子をインク等に混合させることによる偽造防止ラベル・タグ等への活用など新たな用途展開も進めていく。
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