新潟大ら,血管の老化が筋肉でのエネルギー消費を阻害することを発見

新潟大学は千葉大学との共同研究で,高カロリー食投与によって引き起こされた血管老化が,筋肉でのエネルギー消費を阻害することをマウスの実験で発見した(プレスリリース)。

糖尿病やメタボリックシンドロームでは,動脈硬化に伴って血管の老化が進んでいることが,これまで研究グループの報告などで知られていた。しかし,その逆に血管の老化が,糖尿病やメタボリックシンドロームにどのような影響を及ぼしているかはよく分かっていなかった。

今回研究グループは,老化した血管が骨格筋におけるエネルギー消費を妨げることを発見した。通常筋肉では,血流から糖(グルコース)を取り込んで,細胞内のミトコンドリアと呼ばれる小器官でエネルギーを作り出す。しかし,高カロリーの食事を投与された糖尿病病態モデルマウスでは,血管細胞が老化することで,筋肉への糖輸送や,筋肉におけるミトコンドリアの合成能が障害されていることが分かった。この障害によって余剰となったカロリーが内臓脂肪として蓄積し,肥満や糖尿病がさらに悪化すると考えられる。

これまで,糖尿病で合併する血管障害は,糖尿病の病態の結果と考えられていた。しかし今回の成果で,血管の細胞老化によって肥満や糖尿病がさらに進行する悪循環を引き起こしている可能性を示した。