NICT、UWBを利用した高精度の屋内測位システムを開発

情報通信研究機構(NICT)は、UWBを活用した高精度の屋内測位システムを開発した。リアルタイムで数10cm程度の高精度で位置測定ができ、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末と組み合わせて用いることで、利用者の位置情報に連動した多様なサービスの実現が可能だ。(プレスリリース

UWBを用いた屋内測位システムは、ナノ(10-9)秒オーダーの非常に短いパルスの電波を用いることで、Wi-Fi(数m程度の精度)やIMES(10m程度の精度)等の屋内測位システムより一桁以上高い数10cm程度の精度で位置測定することができる。しかしながら、UWBの利用には、測定距離が短いため、測距のための固定機を多数設置しなければならないといった課題があり、コスト等の面から実用化の支障となっていた。

今回開発したUWB(7.25-10.25 GHz)を利用した高精度の屋内測位システムは、UWBの測定距離を増大させる技術を取り入れることによって、NICTが平成24年に開発した「視覚障がい者歩行支援システム」の測定距離を3倍以上上回る30mに増大させることで、測距のために必要な固定機の数を減少させることが可能となった。また、利用者が携帯しやすいようUWB移動機として、スマートフォンに連結した形状の端末や作業ポケットに入れられる小型端末などを開発した。

さらに、この屋内測位システムは、エリア内の移動機の位置情報をリアルタイムで測位できるだけでなく、視覚障がい者が歩行する上で主な障害となる段差、階段の有無や道幅などの状況を考慮したルートを算出できるため、目的地までの距離と方向を音声読上げと音声入力によりナビゲーションする、視覚障がい者の歩行支援などへの活用も期待される。

今回開発した屋内測位システムを利用して、以下の実証実験を実施している。
(1) ショッピングモールでの顧客サービスの向上
(2) 物流倉庫での作業効率と安全性の向上

今回のショッピングモールや物流倉庫での実証実験を通して、事業者や一般ユーザからの意見を取り入れ、更に利便性や機能を向上させていくとともに、UWB測位の精度向上に努め、UWBを利用した屋内測定システムの早期の実用化に向けた研究開発を進めるとしている。