NHKとジュピターテレコム(J:COM)は,実際のケーブルテレビ施設で運用している約100のチャンネルのうちの3チャンネルを使ったスーパーハイビジョン(SHV)の伝送実験に成功した。
NHKは,2020年に衛星を使ったSHV本放送を実現するため,多岐に渡る研究開発を進めている。さらに,ケーブルテレビでもSHV放送を実現できるよう,現行のケーブルテレビ施設の構成を変えずにSHVの8K信号を伝送できる複数搬送波伝送方式を開発している。
今回の実験では,J:COMのケーブルテレビ局(東京都調布市)から複数搬送波伝送方式で送信したSHVの8K信号を,NHK放送技術研究所(世田谷区)で受信し,現行の大規模ケーブルテレビ施設において,安定して視聴できることを確認した。ケーブルは光ケーブルを20km,同軸ケーブル2kmを介した。
複数搬送波伝送方式とは,ケーブルテレビ施設におけるチャンネルの使用状況に応じて,64QAMや256QAM などの異なる変調方式の搬送波を組み合わせることによって,8K信号を伝送できるようにする方式。1 チャンネル(6MHz 帯域幅)あたり,64QAM で約 29Mb/s,256QAM で約 39Mb/sの伝送が可能。
NHKはこの実験を,5月29日(木)~ 6月1日(日)に開催する「技研公開2014」で公開する。