日本原子力研究開発機構(原研)は、特許技術である高速中性子直接問いかけ法(FNDI法)に基づいたウラン量非破壊測定装置を、人形峠環境技術センター内に設置し、特性試験を実施した。その結果、原子力施設の解体物など金属系内容物を詰めたドラム缶内に偏在しているウラン(総量10gU程度以上)を短時間(10分以内)で測定できることを実証した。(ニュースリリース)
FNDI法では、核燃料物質(ウラン、プルトニウム)に極短時間のパルス幅で少量の中性子を照射し、核燃料物質から放出される僅かな量の核分裂中性子を計測する。原研では、核燃料から放出された後、直ぐに消滅する高速中性子の量が核燃料物質の総量と比例していることに着眼し、これを選択的に計測して分析するFNDI法の基盤技術の開発に成功していた。FNDI法には、微量の核燃料物質が偏在していても、その総量を短時間で計測できる特長がある。
現在、国内外の原子力施設内には核燃料物質で汚染された解体物などが詰められたドラム缶が多数保管されており、今後も原子力施設の廃止措置によってドラム缶の数が更に増加することが見込まれている。
原子力事業者は、ドラム缶内に含まれる核燃料物質についても在庫管理(計量管理)することを求められており、ドラム缶内の核燃料物質量を非破壊かつ短時間で、内容物の種類や偏在にかかわらず、実用的な精度で測定できる装置を必要としていた。
今回、原子力機構は、世界に先駆けて実用的な精度(目標精度(±50%)以下である±20%程度)で僅かなウラン量でも測定できる新装置の実用性を確認した。この成果は、同手法の実用化を大きく前進させ、計量管理に関する課題の解決に貢献することが期待できる。