名大,シアノバクテリアの窒素固定に必須の制御タンパク質の遺伝子を発見

名古屋大学の研究グループは,窒素固定能をもつシアノバクテリアから,窒素固定に必須の制御タンパク質の遺伝子を発見した(プレスリリース)。

窒素固定は,空気中の窒素を植物などの生物が利用できる分子に変換する反応で,地球上の生物の生産性を決定づける重要な過程。窒素固定を担うニトロゲナーゼという酵素は,空気中の酸素(O2)によって速やかに壊されるという弱点をもっている。このような酵素を使う窒素固定が,O2を発生する光合成を行う微生物シアノバクテリアにおいてどのように制御されているのか謎のままだった。

今回,研究グループが発見しCnfRと名付けた制御タンパク質は,細胞が窒素不足のときに発現し,細胞内のO2のレベルが充分低いことを感知して初めて,窒素固定遺伝子群の発現を誘導して,ニトロゲナーゼによる窒素固定を開始させる役割をもつことがわかった。

今回発見した遺伝子CnfRを含め窒素固定遺伝子群を植物へ移植すれば,窒素肥料がなくても十分な収穫量が得られる窒素固定性作物を作り出すことが可能かもしれない。これにより大量の化石燃料を消費して作られる化学肥料を減らし,二酸化炭素排出の減少に寄与することが期待される。